母乳の成分について│ママの食事やストレスで母乳の成分は変化する?

母乳 成分 変化

母乳は赤ちゃんの「完全栄養食」と言われますが、母乳には一体どのような成分が含まれているのでしょうか。

粉ミルクは成分や品質が一定ですが、母乳はお母さんの身体から作られる「生もの」で、日々少しずつ変化しています。

それでは、お母さんの体調やストレスによって、母乳の成分は変わるのでしょうか。また、搾乳した母乳を冷凍や解凍することで、成分は変化するのでしょうか。

・母乳に含まれる主な成分は?
・ママの食事や睡眠、ストレスは母乳に影響する?
・母乳を冷凍・解凍しても、成分は変わらない?

母乳の成分は、赤ちゃんの成長にあわせて変化します。母乳の栄養成分の変化について、まとめてみました。

母乳の成分は?血液から作られているの?

母乳 成分 血液

母乳は成分のおよそ90%が水分で、残りの10%にタンパク質・脂肪・乳糖・さまざまなビタミンとミネラル、微量の酵素とホルモンが含まれています。

母乳は何百という多彩な成分から出来ています。それでは、母乳に含まれる主な成分を見てみましょう。

・タンパク質
母乳には「ホエイ」(乳清)と「カゼイン」というタンパク質が含まれています。母乳のタンパク質はほとんどが消化しやすい「ホエイ」なので、赤ちゃんの消化器官に負担をかけることがありません。

・脂肪
母乳には平均的に2~3%の脂肪が含まれていて、母乳中の30~50%ほどのカロリーを占めています。なかでも「必須脂肪酸」と呼ばれる脂肪分は、赤ちゃんの神経細胞を作る大事な役割を果たしています。

・乳糖
乳糖は、乳児のエネルギー源となる成分。ゆっくりと分解されるため、乳児の血糖値を急に上げません。母乳中のカルシウムの吸収をよくする働きがあり、歯や骨の発育を助けます。同時に、脳や中枢神経を発達させる働きもあります。

・オリゴ糖
乳児の腸でビフィズス菌を成長させ、有害な菌が乳児の腸のなかで増えることを防いでくれます。

・コレステロール
母乳には、高濃度のコレステロールが含まれています。コレステロールは、急激に大きくなる赤ちゃんにとって必要不可欠な成分です。

これらの成分がバランスよく含まれている母乳は、お母さんの「血液」から作られています。そのため、母乳と血液は成分がよく似ています。

母乳には、血液に含まれる白血球やリンパ球、「分泌型免疫グロブリンA」などが含まれているため、おっぱいを飲むことで赤ちゃんは病気から守られると言われています。

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母乳の成分で変化が大きいのは「脂肪」

母乳にはさまざまな成分が絶妙なバランスで含まれていますが、赤ちゃんの成長とともに、含まれる成分の量が変わります。

母乳に含まれる成分のなかでも変化が大きいのは「脂肪」です。日々成長する赤ちゃんに必要なカロリーにあわせて、脂肪分の量も質も変化します。

母乳に含まれる脂肪分の変化

・同じ1日の母乳でも、朝と夜では脂肪分が違う
→朝に分泌されるおっぱいは、夜のおっぱいよりも脂肪分が多め

・同じ1回の授乳でも、出始めと終わりでは違う
→出始めのおっぱい「前乳」より、飲み続けた後に出る「後乳」のほうが脂肪分が多い

「後乳」には満足因子が含まれるため、乳児は満足しておっぱいを吸うのをやめます。母乳の脂肪分は1回の授乳のうちにも、細やかに変化するのです。

赤ちゃんの脳・神経の発達のために「脂肪」は必要なものですが、消化器官が未発達な乳児にとって、脂肪は消化しにくいものです。そのため母乳には「リパーゼ」という脂肪の消化を助ける酵素が含まれています。

「初乳」と「成乳」‥成分はどう変化するの?

母乳に含まれる免疫物質が一番多いのが、産後すぐに分泌される「初乳」です。初乳は産後すぐの期間にだけ出る母乳ですが、1週間ほど経つと「成乳」に変化します。

母乳の成分の変化

「初乳」
・新生児をさまざまな細菌から守る「免疫物質」を多く含む
・カロリーが高いため、少ししか飲まなくても十分
・新生児の胎便を早く出して黄疸を防ぐため、ナトリウムやカリウムが含まれる

「成乳」
・出産後、1週間ほどで出るようになる
・脂肪分と糖分が増え、免疫物質とタンパク質が減る

赤ちゃんの成長にあわせて、母乳の脂肪分は低くなりますが、栄養価が低くなるというわけではありません。

「母乳に含まれる栄養はだんだん無くなる」というのは根拠のない話しで、おっぱいにはいつでもその月齢の赤ちゃんに適した栄養がちゃんと含まれているのです。

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母乳とミルクの成分を比較!

母乳 ミルク 成分 比較

日本の乳児の2/3は、与える量の多い少ないはありますが、粉ミルクで育てられているというデータがあります。粉ミルクの主な原料は牛乳ですが、母乳とミルクを比較すると、どのような成分の違いがあるのでしょうか。

人工乳はふつう牛乳から作れていますが、多くの面で母乳には及びません。人工乳を作る際、牛乳を2倍に薄めるので、母乳とカロリーを同じにするために糖分が添加されます。(中略)

人工乳に含まれていないのは、赤ちゃんを病気から守る生きた細胞と、身体的な発達を支える酵素やホルモンです。

引用:「だれでもできる母乳育児」ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル(メディカ出版)p.385

母乳に豊富に含まれている酵素やホルモンは、ミルクには含まれていません。

母乳に多く含まれる酵素「リパーゼ」は、脂肪の消化を助ける働きがあります。しかし粉ミルクは高熱処理されているため、「リパーゼ」をはじめとする酵素は全く含まれていません。

「粉ミルクの赤ちゃんのウンチは臭い」と言われますが、これは乳児の腸が酵素を含まない脂肪分を受け付けられず、そのままウンチで出してしまうためだと言われています。

ミルクの方が「腹持ちがいい」のはナゼ?

母乳も粉ミルクも、「カゼイン」と「ホエイ」というタンパク質から出来ています。

母乳に含まれるカゼインは消化しやすいのに対して、ミルクのカゼインは消化に時間がかかるため、ミルクは腹持ちがいいと言われるのです。

高熱処理されて作られるミルクに生きた酵素は入っていませんが、お母さんのおっぱいには、生きた酵素・栄養成分などが豊富に含まれています。

母乳の成分にお母さんの食事・ストレスは影響する?

母乳 成分 食事

母乳はお母さんの体に流れる血液から作られています。そのため、お母さんの食事はおっぱいの「質」に大きな影響を与えます。

お母さんがコーヒーやお酒を飲むと、母乳にもカフェインやアルコールなどの成分が含まれるようになります。お母さんの食べたものは母乳を介して、赤ちゃんの口にも入るのです。

またお母さんの食べ物だけでなく、お母さんの体調、ストレス、貧血、睡眠不足なども、母乳の成分に影響を与えると言われています

母乳とストレスの関係は?

母乳不足にはいろいろな原因が考えられますが、「ストレス」もおっぱいの出が悪くなる原因のひとつです。

母乳は、おっぱいを作るホルモン「プロラクチン」と、おっぱいを出すホルモン「オキシトシン」の働きで出るのですが、ストレスを感じると「オキシトシン」は分泌されなくなってしまいます。

「オキシトシン」を分泌させるためには、適度な運動や腹式呼吸、太陽の光を浴びることなどが効果的だと言われています。「晴れた日に赤ちゃんと散歩に出る」などもいい方法です。

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母乳の成分は、冷凍・解凍で成分が変わるの?

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赤ちゃんを誰かに預ける時や、赤ちゃんがうまくおっぱいを飲めない時、搾乳しておいた母乳を哺乳瓶に入れてあげることもありますね。

その際は、搾乳した母乳を哺乳瓶などに入れて冷蔵庫(あるいは冷凍庫)で保存、必要な時に人肌くらいの温度に温めて赤ちゃんにあげることになります。

冷蔵・冷凍することで母乳の成分が損なわれることはありませんが、解凍・加熱する際には注意が必要です。成分を壊さずに母乳を温めるポイントを見てみましょう。

冷蔵・冷凍した母乳を温める方法

・冷蔵保存の場合

→搾乳した母乳を清潔な哺乳瓶で保存する
→哺乳瓶ごと湯煎し、人肌くらいの温度に温める

・冷凍保存の場合

→冷凍庫から冷蔵庫に移し、自然解凍する
→哺乳瓶に入れて湯煎し、人肌くらいまで温める

電子レンジや、50度以上のお湯で加熱すると、母乳に含まれる生きた成分が壊れてしまうので、注意が必要です。

母乳の成分は、毎日変化する!

母乳 成分 変化

母乳に含まれる主な成分や、粉ミルクとの比較、お母さんの食事やストレスとおっぱいの関係などについて見てきました。

母乳に含まれる主な成分

・タンパク質、脂肪、乳糖、オリゴ糖、コレステロールなど

母乳の成分の変化

・初乳に多く含まれる免疫物質・タンパク質は成乳になると減り、脂肪と糖分が増える
・乳児の成長にあわせて脂肪分は減るが、栄養分がなくなるわけではない

お母さんのおっぱいは、赤ちゃんにとって最適な成分に調整されて出てきます。一人一人に個性があるように、おっぱいにも個人差があり、ひとつとして同じものがないのです。

例えば、早産で生まれた小さい赤ちゃんのお母さんからは、小さな赤ちゃんが健康に大きくなるような成分の母乳が出ます。

赤ちゃんが病気になった場合、赤ちゃんからお母さんへ病原菌が伝染り、お母さんはその病原菌に対する抗体を乳房内で作り、その抗体は母乳の中に含まれます。

お母さんの温かい体が作るおっぱいは、缶につめられたミルクとは違って、日々変化しています。日々味も成分も変化する母乳を飲んで、赤ちゃんは体と心を作り上げていくのです。

この記事を書いた人

執筆者:菜月

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