母乳の免疫は、いつまで効果があるの?母乳育ちだと風邪もひかない?

母乳 免疫 いつまで

「母乳育ちの赤ちゃんは免疫力が強いって、ホント?」
「母乳の免疫効果は、いつまで続くの?」

赤ちゃんがお母さんからもらう免疫は「生後半年まで」と言われていますが、母乳に含まれる免疫は、いつまで効果があるのでしょうか。母乳の免疫効果は、本当に半年だけの「期間限定」のものなのでしょうか。

・母乳の免疫はいつまでの期間、効果があるの?
・免疫の種類、成分は?
・母乳をあげていれば、風邪もひかないの?

赤ちゃんの免疫力がアップすれば、心配ごとも減りますね。母乳と免疫の関係について、まとめてみました。

母乳育児で赤ちゃんの免疫力アップ!

母乳 免疫力

母乳には、粉ミルクにはない免疫物質が豊富に含まれています。母乳育ちの乳児は、ミルク育ちの乳児よりも、感染症にかかる確率が低いという研究データもあります。

長い間の研究により、産業国(先進国)では母乳育ちの赤ちゃんにいろいろな種類の感染症(呼吸器感染症、中耳炎、尿路感染症、B型インフルエンザ、肺炎、骨膜炎)がおこりにくいことがわかっています。

母乳育児による予防効果は、とくに消化器疾患で顕著なものがあります。(中略)近年、研究者により母乳育児が乳幼児突然死症候群(SIDS)の危険を低くすることも明らかにされました。

引用:「だれでもできる母乳育児」ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル(メディカ出版)p.395,396

母乳に含まれる免疫物質は、赤ちゃんに贈られる最初のプレゼントのようなもの。赤ちゃんの免疫力をアップさせ、さまざまな感染症から守ってくれます。

それでは母乳には、具体的にどんな免疫物質が含まれるのでしょうか。

母乳に含まれる免疫物質とは

母乳は、それぞれの赤ちゃんに最適な濃度・成分に調整されて出てきます。お母さんや赤ちゃんに個性があるように、おっぱいにも個人差があるのです。

しかし、母乳の成分・濃度に違いはあっても、「免疫物質を多く含んでいる」という点では一緒です。母乳に含まれる免疫物質には、以下のような種類があります。

「白血球」

・母乳には、生きた白血球が無数に含まれている
・白血球は乳児の腸内を循環して、病原菌を破壊する
・乳児の体に必要な要素(酵素やタンパク質など)を運ぶ

「ラクトフェリン」

・免疫力を調整する機能がある
・抗菌・抗ウイルス作用などがある

・ラクトフェリンが乳児の腸内で鉄分と結びつく
→腸管での鉄分の吸収がよくなり、腸内の鉄分が少なくなる
→大腸菌が増加が抑えられ、善玉菌が増える

※ラクトフェリンは大腸菌に対して強い免疫力があるため、母乳育ちの子供は、病原性大腸菌0-157に感染しにくかったというデータもあります。

「グロブリンA(分泌型免疫IgA)」

・グロブリンAは、病原体と戦う「天然の抗生物質」のようなもの
・乳児の体内を循環して、病原体を破壊する

・病原体が入りこみそうな所(のど、肺、腸など)に膜を作り、ウイルスや細菌、アレルギーの原因となる物質が血液中に侵入するのを防ぐ
→母乳育ちの赤ちゃんは、中耳炎や気管支炎になるケースが少ないと言われる

ちなみに、乳児がお母さんからもらう「グロブリン」には、母乳に含まれる「免疫グロブリンA(IgA)」だけでなく、赤ちゃんがお腹のなかにいるときに移行する「免疫グロブリンG(IgG)」もあります。

・グロブリンG(IgG)とは

赤ちゃんが生まれる前に、ママの胎盤からもらう免疫物質
水疱瘡や風疹・麻疹などの感染症から守る働きがある

「グロブリンA」は粘膜などをカバーして病原体をブロックしますが、「グロブリンG」は、血液中をめぐって働きます。

免疫力を高める成分が濃い!初乳のパワーとは

母乳 免疫 成分

母乳にはグロブリンAや白血球などの免疫物質がたっぷりと詰まっているのですが、なかでも免疫パワーが強いのは、産後にはじめて分泌される「初乳」です。

出産後、はじめに出る母乳は「初乳」と呼ばれ、免疫力を高める成分が特に多いことで知られています。

「初乳」とは

・出産後、3~5日頃までに出る母乳
・黄色みがかっていて、粘り気がある
・脂肪・炭水化物が少なく、タンパク質が多い
・免疫力をアップさせる成分が豊富

初乳は、無菌状態の子宮から生まれてきた赤ちゃんが始めて飲むおっぱいです。分泌される量は少ないのですが、消化がよく、いろいろな有害物質から乳児を守ってくれます。

初乳は通常の母乳(=成乳)とは成分が違います。免疫物質グロブリンA、白血球などの免疫物質が、成乳の約100倍の濃度で含まれていると言われます。

初乳の色は黄色くてクリームのようですが、成乳は白くサラサラとしています。色の変化と同じく、母乳の成分も変化していきます。

母乳の免疫はいつまで?何ヶ月で効果がなくなる?

母乳 免疫 いつまで

「赤ちゃんがママからもらった免疫に守られるのは、生後半年まで」と言われていますが、一体いつまで母乳に免疫物質は含まれているのでしょうか。母乳の免疫物質は、半年でなくなるものなのでしょうか。

初乳には、免疫物質が特に多く含まれていますが、成乳(=通常でてくる母乳)にも含まれています。

成乳に含まれる免疫物質は、初乳よりも濃度が低いのですが、赤ちゃんの飲む量が増えるので、免疫物質を十分に与えることができます。

母乳の免疫はいつまで?

・濃度は低くなるものの、成乳にも免疫物質は含まれる
・1歳をすぎてからの母乳にも、多くの免疫物質が含まれる

「期間限定」の免疫とは

母乳に含まれる免疫は、濃度に差はあるものの、なくなってしまうものではありません。生後6ヶ月ほどで低下してしまう免疫とは、母乳に含まれるグロブリンA(IgA)ではなく、胎盤を通じて赤ちゃんに移行するグロブリンG(IgG)です。

グロブリンGは、赤ちゃんがお腹のなかにいる時にもらう免疫で、自力で抗体を作ることができるようになるまでの一時的な防御なのです。

赤ちゃんが生まれる前には、胎盤を通じてお母さんの血液中の抗体が赤ちゃんに伝えられます。そして生まれてからは、母乳で免疫が乳児に移行する‥赤ちゃんはそのようにお母さんの免疫物質に守られているのです。

母乳の免疫は、風邪には効かないの?

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「母乳育児をしているのに、赤ちゃんが風邪をひいた‥母乳の免疫は、風邪には効果がないの?」

乳児がお母さんの胎盤からもらった免疫は、生後半年ほどで弱くなるため、生後6ヶ月をすぎると赤ちゃんが風邪をひくこともあります。

母乳の免疫パワーは「天然のワクチン」と呼ばれるほどのパワーがありますが、万能ではありません。というのは、お母さんが持っている免疫は子供に移行するものの、お母さんが持っていない免疫は、子供にあげようがないのです。

しかし風邪をひいた赤ちゃんに授乳を続けていると、風邪からの回復を早めるというメリットがあります。

風邪のときでも、授乳してあげて

母乳の免疫に関しては、もう一つすばらしい発見があります。赤ちゃんが接触する新しい病原体に反応して、乳房がそれに対する特殊な抗体を赤ちゃんに供給するというものです。

まず、母乳育ちの赤ちゃんが新しい病原体に接触します。赤ちゃんは具合が悪いため、いつもより頻繁に母乳をほしがるかもしれません。母子の接触回数が多くなりますから、病原体はお母さんへと移ります。

そうすると、乳房内で必要な免疫グロブリンがつくられ、赤ちゃんは授乳を通じて免疫グロブリンを取り入れることができます。

引用:「だれでもできる母乳育児」ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル(メディカ出版)p.399

赤ちゃんが風邪をひくと、お母さんにもその風邪が伝染して、お母さんの母乳のなかに“その風邪に対する抗体”が含まれるようになる、という研究結果があります。

母乳を飲むことで、風邪の治療ができるのです。母乳はこのように赤ちゃんの状態にあわせて変化するのです。

母乳の免疫効果は、半年以上も続く!

母乳 免疫 いつまで

母乳に含まれる成分や、免疫効果はいつまで続くか、などを見てきました。

赤ちゃんがお腹の中にいたときにお母さんからもらった免疫は半年ほどで弱まりますが、母乳の免疫は、濃度に変化があるものの、長く持続するものなのです。

母乳に含まれる免疫物質

・グロブリンA(IgA)
・白血球
・ラクトフェリン など

母乳の免疫はいつまで?

・免疫物質の濃度は次第に低くなるものの、1歳をすぎても免疫物質は含まれていると言われる

何らかの事情で母乳育児が続けられなくても、免疫物質が最も多く含まれている「初乳」だけは飲ませてあげたいものです。初乳に含まれるIgAが、赤ちゃんの免疫機構を刺激するため、その子の一生の健康にも役に立つとされています。

「母乳をあげることは、やさしく予防接種をすることと同じ」とも言われています。お母さんの頑張りは、いつか必ず実を結ぶのです。

この記事を書いた人

執筆者:菜月

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